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東宝スタジオ第2次改造計画/東宝-早稲田大学連携プロジェクト [2009年1月]

1月14日(水)都内のホテルにて、「東宝スタジオ第2次改造計画の概要および早稲田大学との連携プロジェクト」の記者発表会を開催いたしました。

東宝スタジオ第2次改造計画 (第1次改造と合わせて総額100億円の投資)

東宝スタジオは、かつては「東宝撮影所」として1932年の創立以来『七人の侍』や『ゴジラ』など日本を代表する名作の数々を生み出してきました。更に2004年からは「東宝スタジオ改造計画」と称し、50億円をかけて撮影ステージ6棟、アクターズセンター(キャストルーム&レストラン棟)・プロダクションセンター(スタッフルーム棟)など付帯施設6棟を建設。同時に、それまでの東宝映画を中心とした作品受注から、東宝配給以外の作品も含めた一般の製作プロダクションにスタジオ施設を開放するという、運営方針の大転換を行い、プロダクションを「お客様」としてお迎えする体制を作り上げました。
2008年は40本近い映画・テレビ、150本に及ぶCMが東宝スタジオで製作・撮影されています。
この「都心から近く、新しく、開かれたスタジオ」は、今や日本映画に欠かせない一大製作拠点として、広く業界に認知されています。

東宝ではこの度、東宝スタジオの更なる近代化を目指し、「第2次改造計画」に着手することを決定しました。その概要は以下の通りです。

新ポストプロダクションセンター

前述のように、現在東宝スタジオの撮影ステージをお使いいただいている作品は年間40本。しかし音付けを行うダビングステージはスタジオ内にひとつしかないため、かなりの作品の仕上げ作業をお断りしている状況です。
これら製作現場からの期待に応えるべく、東宝スタジオでは2年前から社外の100人を越える方々にヒアリングを実施してきました。そしてハリウッドのメジャースタジオ各社のポストプロダクションを参考に、スタジオ内の一角にポストプロダクションセンターを新設。同時に従来からあるポストプロダクションセンターもリニューアルして、「2ダビングステージ体制」を取ることにしました。
施設概要

ダビングステージ
新たに建設するポストプロダクションセンターに入るダビングステージは、ミキサー・監督・プロデューサーが最もいい音と最もいい映像で作業できる環境を追求しました。特に音響再生については一般劇場を大きく上回る環境で、世界でも最高レベルの音質が実現します。

ADR(アフレコ)ステージ、フォーリー(効果音)ステージ
それぞれ別のステージとして新設します。どちらについても実際にお使いになるミキサー、フォーリーアーチストの意見を詳細に聴取。高い遮音性と使い勝手の良さが実現します。

編集室
ハイビジョン映像を基本としたオフライン編集室が6室、サウンド編集室は5.1チャンネル対応のものを含めて7室。複数の作品の同時稼動が可能です。

試写室
大小ふたつあり、大試写室は幅9メートルのスクリーンに100人以上収容可能。またラッシュ試写のみならず、映画の初号検定も上映できる厳格な映写環境が整います。小試写室は30人収容で200インチのスクリーン。編集リズムの確認に、気軽にお使いいただけます。
また各編集室とのネットワークを完備し、編集し終えたばかりの映像を即座に、小試写室でも大試写室でも確認することができます。

これら新ポストプロダクションセンターの設計には、ワーナーブラザースから全面的なご協力をいただいています。そして音響設計には、ハリウッドのほとんどのメジャースタジオを手がけるスタジオ音響のスペシャリスト チャールズ・M・ソルター・アソシエイツ,Inc.に音響デザインを依頼します。 2010年の夏には機能性とアメニティを兼ね備えた世界最高レベルのポストプロダクション施設が完成する予定です。
新ポストプロダクションセンター完成予想CG(外観)

新ステージ2棟の建設

1937年竣工で老朽化が進んでいるNo.5・6ステージも、「新No.5・6」として、再びふたつのステージに建て替えます。ひとつは100坪、もうひとつは150坪の広さです。
こうして第2次改造が終了すると、東宝スタジオの撮影ステージは「全10ステージ」の体制となります。

スタッフルーム棟2棟の建設

第1次改造でスタッフ用の建物は新築しましたが、その後もご利用くださる作品は増え、これでも施設が足りません。東宝スタジオを希望されるプロダクションをひとつでも多くお迎えするために、スタッフルーム棟を更に2棟新築します。
以上の施設建設に対する総投資額は50億円。第1次改造と合わせると100億円の設備投資になります。
こうして2011年には、20年から30年後を見据えた、日本最高、世界でも指折りの映画スタジオが完成します。東宝スタジオはこれからも、多くの製作者・スタッフに喜んでもらえる、開かれたスタジオを目指して参ります。
日本映画の製作現場の更なる進化を実現する「東宝スタジオ 第2次改造計画」にご期待ください。

東宝-早稲田大学連携プロジェクト

「ネットワークを利用しての先端映像製作システムの研究」における社会連携と、
実際の映画製作現場における実証実験

東宝と早稲田大学は、東宝スタジオ(東京都世田谷区)と早稲田芸術科学センター(埼玉県本庄市)を中心に、早稲田大学が運営管理する大容量閉域ネットワークを利用して、都内の主要ポストプロダクション・現像所を結びつけるネットワークを構築しました(下記模式図 参照)。これによってデジタル・インターミディエイトやCG制作など、それぞれの会社が持つ特徴ある設備・機材・技術を、有機的に共有し合える環境が整っています。
既にこのシステムを活用して「西遊記」「隠し砦の三悪人」「ザ・マジックアワー」「私は貝になりたい」などの作品が製作され、製作スタッフからたいへんなご好評いただいています。
またこのネットワークは、最先端デジタル技術を駆使した映画製作が、設備・費用・労力・時間等を抑えつつ可能となるシステムについて研究する場でもあります。日本のデジタル映像合成技術は世界に匹敵するものがありますが、バジェットにおいて残念ながらハリウッドの大作映画には及びません。そのハンディをカバーし、海外作品に対抗し得る日本流デジタルシネマの製作手法を開発する研究プロジェクトです。言わば「映像産業構造革命」を確立するための実証実験が、本物の製作現場で行われているのです。
東宝-早稲田 画像ネットワーク 模式図

東宝スタジオ内に早稲田大学の拠点を設置

研究・教育の拠点として、東宝スタジオ内に早稲田大学の拠点研究室「映像研究室」が設置されました。研究室がスタジオの中にあることで、早稲田大学は実際の映画製作現場を対象とした実証実験・研究と、映画製作現場に隣接した教育が可能となります。

映画・映像業界の人材育成
─東宝が早稲田大学 大学院生を対象としたインターンシップに協力

映画業界を志す学生が映画産業に対する理解を深めるには、実際の現場に入ってプロフェッショナルの仕事を目の当たりにするのがいちばんです。東宝では、東宝スタジオが主体となって、日本映画の主要製作プロダクションに強く働きかけ、早稲田大学の大学院生を対象としたインターンシップとなる場を映画の製作現場の中で提供するよう要請していきます。 東宝スタジオを舞台として製作される映画の現場が、映画の製作ノウハウを習得するための、実践教育の場となります。 この制度を使って既に「隠し砦の三悪人」「私は貝になりたい」などの作品製作に、早稲田大学のインターンが参加しています。
 
早稲田大学・安藤教授と東宝・中川専務
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